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—細川宏遺稿詩集「病気・花」—心の機械化に御用心を
著者: 長岡文1
所属機関: 1東京文化医学技術専門学校
ページ範囲:P.60 - P.60
文献購入ページに移動細川宏は,ここで紹介するまでもなく周知のことと思いますが,東大解剖学教授在任中に癌にたおれ惜しまれつつ昭和42年世を去られた方で,その病床でつづられた遺稿が出版されたものです.最初の「病者―ペイシェント―」には,長い病との戦いに身をまかせひたすら医学の要塞陣地からの援護射撃によって救われるのを待ちつづけ,見舞う人のいたわりと励ましによってやすらぎと勇気を与えられつつじっと耐え忍ぶさまが如実にうたわれています.また誰でもが心の底に持っている不治の病への不安を死者との問答の形で淡々と書かれており心をうたれます.健康な人が病者の心のうちを察しているつもりでも,それはさらにさらに大きく無限に広がって行く苦しみなのだということが感じられます.
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