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技術講座 血清
IgE測定1—RIST
著者: 伊藤幸治1
所属機関: 1東京大学医学部物療内科
ページ範囲:P.899 - P.904
文献購入ページに移動IgE測定の意義
IgEはアレルギー性の鼻炎,気管支喘息に関係する免疫グロブリンとして1966年石坂1)によって発見され,ひきつづき1967年スウェーデンのJohansson2)によってIgEの骨髄腫患者が発見された.IgEは正常では0.3μg/ml,アレルギー患者で高い例でも50μg/ml程度であるが,IgE骨髄腫患者では数10mg/mlに達する.この骨髄腫蛋白を精製してウサギ,その他の動物に注射して大量の抗IgEを作り,この抗IgEを使うことによって微量のIgE測定が可能になった.その代表的な方法がRIST3)である.
IgEは図1に示すように,末梢血好塩基球や組織肥満細胞に4週間くらい固着している性質があり,このIgEが何らかの抗原に対する抗体活性を持っている場合,浸入した抗原(アレルギーではアレルゲン)と反応すると2個のIgE分子が架橋されて,それらの細胞よりヒスタミン,SRS-Aなど気管支収縮,血管の透過性亢進などのアレルギー症状を引き起こす物質が放出される.IgEはその後アトピー性皮膚炎や寄生虫感染(原虫感染を除く)で上昇していること,種々の免疫不全症や,IgE以外の骨髄腫で低下していることが明らかになった4).185例の成人健康者で調べたIgEの正常平均値は122U/mlで,正常域は40〜360U/ml(平均値±標準偏差)にある.IgEの値が高ければ何らかのアレルギー疾患または寄生虫感染があるのではないかという疑いがもたれる.アレルギー性喘息の60%はIgEが高値である.しかしアレルギー患者でも正常値を示すことがある.これは総IgEのうち特定のアレルゲンに対するIgE抗体の占める割合が数10%に達するため,十分アレルギー反応を起こし得るからである.また逆に正常者でも多少の高値を示すことがある.すなわちオーバーラップがあることは留意する必要がある(図2).IgEが検出されない程度に低い場合は種々の免疫不全や骨髄腫(IgE骨髄腫を除く)の場合が多いが,健康人でも低い場合がある.
IgEはアレルギー性の鼻炎,気管支喘息に関係する免疫グロブリンとして1966年石坂1)によって発見され,ひきつづき1967年スウェーデンのJohansson2)によってIgEの骨髄腫患者が発見された.IgEは正常では0.3μg/ml,アレルギー患者で高い例でも50μg/ml程度であるが,IgE骨髄腫患者では数10mg/mlに達する.この骨髄腫蛋白を精製してウサギ,その他の動物に注射して大量の抗IgEを作り,この抗IgEを使うことによって微量のIgE測定が可能になった.その代表的な方法がRIST3)である.
IgEは図1に示すように,末梢血好塩基球や組織肥満細胞に4週間くらい固着している性質があり,このIgEが何らかの抗原に対する抗体活性を持っている場合,浸入した抗原(アレルギーではアレルゲン)と反応すると2個のIgE分子が架橋されて,それらの細胞よりヒスタミン,SRS-Aなど気管支収縮,血管の透過性亢進などのアレルギー症状を引き起こす物質が放出される.IgEはその後アトピー性皮膚炎や寄生虫感染(原虫感染を除く)で上昇していること,種々の免疫不全症や,IgE以外の骨髄腫で低下していることが明らかになった4).185例の成人健康者で調べたIgEの正常平均値は122U/mlで,正常域は40〜360U/ml(平均値±標準偏差)にある.IgEの値が高ければ何らかのアレルギー疾患または寄生虫感染があるのではないかという疑いがもたれる.アレルギー性喘息の60%はIgEが高値である.しかしアレルギー患者でも正常値を示すことがある.これは総IgEのうち特定のアレルゲンに対するIgE抗体の占める割合が数10%に達するため,十分アレルギー反応を起こし得るからである.また逆に正常者でも多少の高値を示すことがある.すなわちオーバーラップがあることは留意する必要がある(図2).IgEが検出されない程度に低い場合は種々の免疫不全や骨髄腫(IgE骨髄腫を除く)の場合が多いが,健康人でも低い場合がある.
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