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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻12号

1983年12月発行

文献概要

病気のはなし

脳梗塞

著者: 古橋紀久1

所属機関: 1北里大学医学部内科

ページ範囲:P.1060 - P.1065

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 脳梗塞とは,脳動脈の閉塞により脳血流が遮断され,その灌流する領域の脳組織に不可逆性の変化が起こり,機能を失ったものをいう.脳梗塞と同じ意味で脳軟化という言葉が用いられてきたが,これは脳組織が破壊されて融解壊死に陥った病理学的変化を指しており,臨床的には現在は用いられていない.
 脳組織はその中に酸素,ブドウ糖などの栄養源を蓄えておく能力を持っていないため,時々刻々と流れてくる血液から取り込んでいる.このため多量の血流を必要とするので血流不足には敏感である.脳動脈が完全に閉塞しなくても,動脈硬化などである程度以上の管腔の狭窄があれば脳血流は減少する.このような場合に急激な血圧低下が起これば脳血流は激減して脳組織の機能障害をきたし,ある期間このような状態が持続すればやはり脳軟化が引き起こされてくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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