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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻12号

1983年12月発行

文献概要

技術講座 生化学

ELISAによるIgEの測定法

著者: 吉本政弘1 三河春樹2

所属機関: 1福井医科大学小児科 2京都大学小児科

ページ範囲:P.1077 - P.1081

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 IgE(Immunoglobulin E)は石坂ら1)によって発見されて以来,遺伝的素因が基盤となって発症するいわゆるアトピー性アレルギー性疾患の生体側の起因物質として注目を集めている.IgEの血中濃度は非常に微量であるが,ラジオイムノアッセイ(RIA)により,感度よく測定できるようになって,臨床的にも気管支喘息患者などにおいてアトピー性の一指標として測定の機会が増えている.
 一方,組織化学における酵素抗体法が組織標本中の微量の抗原を証明する有用な方法として登場した後,酵素で抗体を標識するこの方法が微量の蛋白抗原(あるいは抗体)の定量に応用されるようになりエンザイムイムノアッセイ(EIA)と称され,1971年EngvallとPerlmannによって最初に報告された2).近年,微量の蛋白抗原(あるいは抗体)の定量にはRIAがもっとも感度の高い方法として普及しているが,RIAには特殊な設備を要するなど放射性物質を使用する関係上いろいろの制約がある.EIAはRIAと同等の感度を有し,しかもRIAにおける多くの制約がなく,一般病院の検査室でも広く行える検査法であるため,IgEのほかすでにCEA(carcinoembryonic antigen),AFP(a-fetoprotein),インスリンなどの微量蛋白の定量法として実用化され,臨床分野においてはRIAにとってかわるものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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