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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻12号

1983年12月発行

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トピックス

HBウイルスのワクチン

著者: 小池克郎1

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所生化学部

ページ範囲:P.1115 - P.1116

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 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染は,原発性肝癌の発生に密接に関係している.それゆえ,HBV感染と原発性肝癌の多発地域では,HBVに関する研究の相当の部分が持続性感染を防止するために向けられている.HBVの伝染の様式については,現在,かなりのことがわかりつつあり,ウイルスの表面抗原(HBsAg)をワクチンとして用い,HBV感染を予防することも可能となってきた.
 HBsAgは,ウイルス遺伝子がコードする複雑な抗原であり,グループ特異抗原決定基aを含み,サブタイプ抗原決定基d/yとw/rにより大きく四つのサブタイプに分けられている.キャリアの血液中に検出されるHBsAg粒子は,分子量が2〜4×106であるが,SDSゲル電気泳動で分析すると,分子量が約25,000の蛋白質(p-25)と,分子量が約30,000の糖蛋白質(gp-30)で構成されている.p-25とgp-30は,同一のアミノ酸組成を示し,かつN末端とC末端のアミノ酸配列が共通している.これは,p-25とgp-30の違いがgp-30中に存在する糖質の有無のみで,同じ遺伝子の産物であることを示している.現在では,HBVDNAの全塩基配列(サブタイプadr:3215塩基対)が決定され,HBsAg遺伝子の構造および蛋白質のアミノ酸配列が決定されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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