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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻12号

1983年12月発行

文献概要

トピックス

新しい腸内細菌"Kluyvera属"

著者: 相原雅典1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.1116 - P.1116

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1.歴史と分類学上の位置
 Kluyvera属は1956年,わが国のAsai1)らによりブドウ糖を発酵して多量のα-ケトグルタル酸を産生する端在性鞭毛をもつグラム陰性桿菌としてその属名が提唱され,種はクエン酸利用の有無でK. citrophiliaとK. noncitrophiliaに分けられた.その後,Schewanらの指摘により,分類学上の位置を見直す必要性が生じ,Kluyvera属からEscherichia属へ移されるべく提案され,Kluyveraの原提唱者であるAsaiにより1962年にKluyvera属の正式な撤廃が提唱された.しかし,その後も文献などにKluyveraとして引用され続けられたが,その菌名は1980年に刊行されたApproved Lists of Bacterial Namesに記載されておらず,また,Escherichia属にもそれに該当する菌種は記載されていない.したがって,1980年1月1日以降,この菌は分類学上の位置を失ったわけであるが,Farmer2)らは彼らがEnteric group 8と仮称していた菌とAsaiらによりKluyveraと呼ばれていた菌が生物学的性状およびDNA交雑法により同一菌であったことを確かめ,1981年にあらたにKluyvera属として,腸内細菌科の一員とするよう提唱した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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