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技術講座 生化学
α-フェトプロテインの測定法
著者: 田中博1
所属機関: 1日大板橋病院臨床検査部
ページ範囲:P.331 - P.336
文献購入ページに移動 α-フェトプロテイン(α-Fetoprotein:AFP)は,健康成人血清中にはほとんど存在しないが,胎生期に生理的に存在する胎児特異蛋白である.物理化学的性状は,表1に示すように沈降定数4.5S,分子量64,600,等電点4.7,糖含有率約4%の蛋白であり,電気泳動的にはα位に易動度を示すことから,①α1-fetoglobulin,②α1-feto-specifc serum protein,③embryospecifc protein,④α1-fetoproteinなどの名称で報告されていたが,WHOのInternational Agency for Research on Cancer(IARC)の推薦するα-fetoproteinの名称が広く用いられるようになった1).
AFP測定が臨床診断に有用されるようになったのは,1963年,Abelev2)が移植肝細胞癌のマウス血清中にAFPの出現することを見いだし,次いで,1964年,Tatarinov3)がヒトの原発性肝細胞癌患者血清中にAFPを証明して以来,肝癌(ヘパトーマ)とAFPの関連が注目されるようになり,さらに肝癌の治療効果,予後および肝障害の経過観察の指標として役立つことも報告されてきた4).また,胎児性奇形腫の診断5)や妊娠の管理,新生児の発育状態の観察6,7)などにもAFPの消長が参考にされるようになった.
AFP測定が臨床診断に有用されるようになったのは,1963年,Abelev2)が移植肝細胞癌のマウス血清中にAFPの出現することを見いだし,次いで,1964年,Tatarinov3)がヒトの原発性肝細胞癌患者血清中にAFPを証明して以来,肝癌(ヘパトーマ)とAFPの関連が注目されるようになり,さらに肝癌の治療効果,予後および肝障害の経過観察の指標として役立つことも報告されてきた4).また,胎児性奇形腫の診断5)や妊娠の管理,新生児の発育状態の観察6,7)などにもAFPの消長が参考にされるようになった.
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