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アーチファクト
寄生虫
著者: 八木靖二1
所属機関: 1癌研究会附属病院中検
ページ範囲:P.448 - P.448
文献購入ページに移動 この症例では,糞便検査時に,写真1に示すような約1mm大の不活発な運動をする虫体が数匹認められた.まず,肉眼的には,横川吸虫や異型吸虫などの吸虫類が疑われた.顕微境下での観察(写真2,40倍)では,これらの虫体は吸虫類と異なり,体節を有し,頭部側と思われる部位には写真3(400倍)に示すような鋭い鉤を一対有していた.また,その先端には写真4(400倍)に示すような乳頭状の突起が一対認められた.一方,尾部と思われる部位には,写真5(200倍)に示すような一対の管腔が開いており,これが頭部側の方まで平行して続いているのが認められた.さらに体表には写真6左(400倍)に示すような棘を有し,体節には右(400倍)に示すような小棘の環を有していた.
以上の形態的特徴から追求した結果,これらはハエの幼虫であろうと推定された.実際に,ハエの幼虫を観察したところ,ほぼ同様な形態が確認され,したがって,この症例で検出された虫体は,ハエの幼虫と判断した.再提出された糞便中には,写真に示したような虫体は検出されなかった.
以上の形態的特徴から追求した結果,これらはハエの幼虫であろうと推定された.実際に,ハエの幼虫を観察したところ,ほぼ同様な形態が確認され,したがって,この症例で検出された虫体は,ハエの幼虫と判断した.再提出された糞便中には,写真に示したような虫体は検出されなかった.
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