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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻6号

1983年06月発行

文献概要

病気のはなし

鉄欠乏性貧血

著者: 刈米重夫1

所属機関: 1福島県立医科大学第一内科

ページ範囲:P.496 - P.501

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その概念
 鉄欠乏性貧血は,その字のように鉄が欠乏したために起こる貧血である.鉄は赤血球に含まれている赤い色素,すなわち血色素の構成成分である.血色素はグロビンという蛋白部分にヘムという色素が結合してできているが,ヘムはポルフィリン核の中央に鉄原子を持っている.赤血球は骨髄の造血組織内にある赤芽球が成熟してできる.赤芽球は成熟過程で血清中の鉄を摂取して胞体の中に血色素を合成する.血色素がある程度生成されると,赤芽球は細胞核を体外に放出して,核のない赤血球になる.この血色素の材料の一つである鉄が血清より十分供給されないと,赤芽球の多くは成熟して赤血球になれず,崩壊死滅してしまうために,赤血球の産生の不足を起こして貧血を招来するのが鉄欠乏性貧血である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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