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コーヒーブレイク
癌の死亡症例の推移
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ページ範囲:P.612 - P.612
文献購入ページに移動剖検例の中での癌の発生部位別相対頻度を東京大学の剖検例でみると,胃癌が1883年から1930年までは33〜35%であったが,1930年代から減少し,最近の20年間(1961〜1980)はほぼ16%と横ばいの状態が続いている.日本全国の剖検症例でも最近の7年間は19〜17%とほほ横ばいでやや減少の傾向にある.肺癌は1920年までは2.1〜4.0%,1921〜1960年までは5.8〜8.6%,最近の20年間は11%と徐々に増加している.日本全国の剖検症例では最近は14.3〜15.6%と横ばいである.大腸癌は1970年までは0.9〜2.4%と横ばいであったものが最近の10年間では5.2%と急増している.日本全国の剖検症例では,1974〜1976年には3.2〜3.5%であったものが,1977〜1980年には5.8〜6.4%と増加している.東京大学の剖検例の記録は明治16年(1883)からあるので,それを活用することができる.この一施設の記録で日本の癌の全体像を把握することができるかどうかは問題ではあるが,日本全国の剖検例での最近の動向と最後の部分では重なり合うので,かなり信用してもよいと思われる.
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