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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻8号

1983年08月発行

文献概要

技術講座 血清

EIAによるHBe抗原,HBe抗体の検出

著者: 狩野賢二1

所属機関: 1島根医科大学病院検査部免疫血清

ページ範囲:P.736 - P.740

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ウイルス性肝炎とe抗原e抗体
 ウイルス性肝炎は,A型肝炎ウイルス(HAV),B型肝炎ウイルス(HBV)ならびに非A非B型肝炎ウイルスによるものに分類されている.これらウイルスの感染経路や,罹患後の病態の経過などから,HBVによる肝炎が,特に輸血での感染を起こすこともあって早くから注目された.ウイルスの構造についてもHBVにおいて,より詳細に解明されている.図1に示したように,大型でHBs,HBe,およびHBcの3タイプの抗原を持つウイルスをデーン粒子という.このうちe抗原は,HBVの芯の内部に存在するとともに,流血中では遊離の形で,あるいは免疫グロブリンと結合した形で存在すると言われている.すなわちIgGと結合したものは分子量約20万の大分子となるが,遊離のものは10万内外の分子量であろうと推測され,流血中に存在するものが測定される.
 e抗原,e抗体はそれを保持する血液に感染性があり,ことにHBs抗原陽性でe抗原陽性血液が,e抗体陽性血に比べてより感染性が高いことが明らかにされている.したがってB型肝炎ウイルスの感染予防対策上,e抗原,e抗体の検索が重要となっている.e抗原の検出率は,急性肝炎よりも慢性肝炎,肝硬変症に高く,肝疾患の病態と予後を推測するのに有効な指標となる.さらに無症候性キャリアーでは,e抗原陽性例に肝炎を発症するものが多いことから,HBVの母児感染の予防上,e抗原は重要なマーカーとみなされている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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