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文献詳細

雑誌文献

検査と技術11巻9号

1983年09月発行

文献概要

技術講座 血液

線溶試験3—プラスミノゲンの測定

著者: 松田保1

所属機関: 1東京都老人総合研究所臨床第二生理

ページ範囲:P.825 - P.829

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免疫学的測定法
 血管内にフィブリンを生じた場合,それが止血に必要なものであれ,血管を閉塞する病的な血栓であれ,同時にこれを溶解するシステムが動き出すことについては,連載第1回で述べたが,フィブリンを溶解する酵素であるプラスミンの前段階物質であるプラスミノゲンの測定には,さまざまの方法がある.前号では,プラスミノゲンを含むユーグロブリン分画に十分量のウロキナーゼを加えてプラスミンに転化せしめ,これをプラスミノゲンを含まぬフィブリン平板上において,プラスミノゲンを測定する方法について述べたが,近年,さらに簡便なプラスミノゲン測定法が開発され,広く用いられている.その第一が免疫学的な測定法である.この測定法は,ヒト血漿より抽出し純化したプラスミノゲンによって免疫した動物より得たプラスミノゲンに対する抗体を含む寒天平板とプラスミノゲンを含む検体(通常,血漿が用いられる)を反応させることに基づくもので,正確には検体中のプラスミノゲンの活性(プラスミノゲンを完全にプラスミンに転化した時に生ずるフィブリン溶解活性)ではなく,検体中のプラスミノゲンの抗原性を測定するものである.
 もっとも一般的に用いられている方法は一次元(または単純)免疫拡散法1)と呼ばれる方法で,プラスミノゲンに対する抗血清を含む寒天平板にあけた小孔(well)に検体(希釈血漿)を一定量注入し,一定時間放置すると,ウェルの周囲には抗原抗体反応によって円形の沈降輪を生ずるが,検体中に含まれるプラスミノゲンの量と,沈降輪の直径の自乗が直線的な関係にあることを利用するものである.具体的な測定法については図1に示したが,プラスミノゲンの濃度既知の市販の標準血漿を用いて標準線(図2)を作製する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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