文献詳細
病気のはなし
文献概要
成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia;ATL)が新しい疾患概念として提唱されたのは,わずか8年前の1976年であった.京都大学の高月清博士(現熊本大学教授)らは,極めて特徴ある臨床像,血液像を呈するT細胞性の白血病についてATLという名称で,アメリカの血液学専門誌"Blood"に発表した1).当初から九州出身者に多いことが注目されていたが,南四国や紀伊半島も多発地域であることがわかり,この地理的分布がATLの本態になんらかの関係をもつことが推測されていた.
この問題に突破口を開いたのは岡山大学の三好勇夫博士(現高知医科大学教授)らで,1979年にATL患者末梢血をヒト胎児臍帯血と混合培養することにより,試験管内で持続的に増殖する細胞株MT-1を樹立することに成功したのである2).このMT-1を用いて翌1980年,日沼頼夫京都大学教授らはATL患者の血清中にMT-1と反応する抗体(ATLA抗体)が存在することを発見,さらにMT-1がC型ウイルスを産生していることを報告したのである3).次いで癌研究所の吉田光昭博士らは,このウイルスが新しいレトロウイルス(動物の白血病ウイルスはほとんどレトロウイルスである)に属することを明らかにした4).
この問題に突破口を開いたのは岡山大学の三好勇夫博士(現高知医科大学教授)らで,1979年にATL患者末梢血をヒト胎児臍帯血と混合培養することにより,試験管内で持続的に増殖する細胞株MT-1を樹立することに成功したのである2).このMT-1を用いて翌1980年,日沼頼夫京都大学教授らはATL患者の血清中にMT-1と反応する抗体(ATLA抗体)が存在することを発見,さらにMT-1がC型ウイルスを産生していることを報告したのである3).次いで癌研究所の吉田光昭博士らは,このウイルスが新しいレトロウイルス(動物の白血病ウイルスはほとんどレトロウイルスである)に属することを明らかにした4).
掲載誌情報