icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻10号

1984年10月発行

文献概要

技術講座 生化学

HDLコレステロールの測定法

著者: 川出眞坂1

所属機関: 1岐阜大学中央検査部

ページ範囲:P.889 - P.893

文献購入ページに移動
HDLコレステロール(HDL-Ch)とは
 HDL(high density lipoprotein;高比重リポ蛋白)は,超遠心法で分けられるリポ蛋白につけられた名前で,比重が1.063から1.210の間にあるリポ蛋白であり,電気泳動法のα-リポ蛋白のことである.ここに超遠心法と電気泳動法で分けられるリポ蛋白の名前の相互関係を図1に示しておこう.
 HDL-Chの測定が大切なことがわかったのは,フラミンガム研究(Framingham Study)やトロムセ研究(Tromsφ Heart Study)と呼ばれる研究が行われてからである.フラミンガムは米国マサチューセッツ州にある都市,トロムセはノルウェーの北部にある都市の名前である.これらの都市の住民の健康診断が行われたが,心筋梗塞になった人の脂質を調べてみると,発病するより前からHDL-Chの値が低かったことがわかった.HDL-Chの低い人は心筋梗塞にかかりやすいわけで,これをHDL-Chは心筋梗塞の陰性危険因子(negative risk factor)をなす,という.HDLには末梢組織の細胞膜からコレステロールを抜き取り,エステル化して肝臓に運び,胆汁中に排泄する働きがある.ゆえにHDL-Chが低いことは,末梢組織からコレステロールを除去する能力が低いことを意味する.このことがわかってからにわかにHDL-Chの測定が注目されるようになり,今では20種類以上のキットが売られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?