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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻11号

1984年11月発行

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組織プラスミノーゲンアクチベータ

著者: 松尾理1

所属機関: 1近畿大学第一生理学

ページ範囲:P.1021 - P.1022

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 プラスミノーゲンアクチベータは,その名のとおりプラスミノーゲンを活性化してプラスミンという酵素を生じさせる酵素である.プラスミンはフィブリンあるいはフィブリンの前駆体のフィブリノーゲンを分解してFDP(フィブリンあるいはフィブリノーゲン分解産物)を生じさせる.これが線溶系の活性化機構である.プラスミノーゲンアクチベータは,尿中に存在するウロキナーゼ(以下,UKと略)タイプと組織中に存在する組織性プラスミノーゲンアクチベータ(tissue-type plasminogen activator:以下,t-PAと略)の二種に大別される.
 t-PAは,身体の多くの組織,特に肺,前立腺,子宮,卵巣などに存在し,さらに血管壁内皮細胞やある種の癌細胞中にも存在している.従来のt-PA研究が主に組織抽出液を中心に行われていたため,研究材料の入手難および最終産物の超微量という難点が生じ,十分に研究できなかった.ところが,t-PA研究が最近飛躍的に進歩したのは,t-PAの材料としてメラノーマ細胞の培養液を用いたためで,材料の制約がなくなり,さらに培養液そのものに夾雑する蛋白が非常に少なく,精製t-PAを得るのにたいへん有利となった.このため,in vitro実験のみならず,in vivo実験もまかなえるほどt-PAが取得できたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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