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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻11号

1984年11月発行

文献概要

トピックス

脳腫瘍の中性子捕捉療法

著者: 畠中坦1

所属機関: 1帝京大学脳神経外科

ページ範囲:P.1023 - P.1023

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 脳腫瘍の治療は今日でもまだまだ難しい.下垂体腺腫,髄膜腫,聴神経腫といったものは,治癒率もかなり高いが,これらは本当は脳実質の腫瘍ではなく「脳の外にある」所属器官の腫瘍なので,手術の腕さえよければよく治るのが当然である.ただ残る問題点は,脳腫瘍というものが,人口10万人あたり1年間に5〜6人しか発生しないというやや少ないものなので,脳腫瘍を手術する技術の習熟度(いわゆる腕)がなかなか上がらないという事実である(日本全国で1年間に5,000〜6,000人の脳腫瘍が発生し,それを3,000人の脳外科医で手術すれば,1人の脳外科医が1年に手術できる脳腫瘍例は2人ぐらいしかない.脳外科医を志して10年選手になった医師でも,脳腫瘍を自ら執刀したのは20例ぐらいしかないことである.幸い私はこれまでに400例ぐらい執刀しているが).
 脳実質から発生するものをグリオーマ(膠腫)と呼ぶが,グリオーマでは上に挙げた髄膜腫,神経腫,腺腫などと違って正常脳とグリオーマの境界がつきにくいことが多く,特に顕微鏡で見ると正常脳実質の中にグリオーマ細胞が点々と入りこんでいる(浸潤している)ものが多く,このようなものでは,胃切除や乳房切除のようにバッサリと大きく脳を切り取るということができないため,再発がほとんど必至である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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