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新しい腸内細菌"Escherichia属"
著者: 田村和満1
所属機関: 1国立予防衛生研究所
ページ範囲:P.184 - P.185
文献購入ページに移動同じ属に含まれるとはいえ,これらの菌種は相互にまったく無関係で,「Escherichiaに含まれるからE. coliと同じに扱ってよいだろう」などと考えるのは大まちがいである.一つの属には遺伝学的に近縁の菌種を集めるのが分類の原則であるが,これらの菌種に限っていえばE. coliとの遺伝学的関係はなく,また各菌種相互間はもちろん,他の腸内細菌の菌種とも関係しない.すなわち,これらの菌種はそれぞれ独立した新しい属に含まれるとみなすべきものである.それにもかかわらず,これをEscherichia属にいれているのは,いたずらに種属を設けて分類を複雑にすることを避けるためで,これらの菌がVP-,H2S-で,どちらかといえばEscherichiaに入れておいたほうが同定上便利であるという暫定的処置にすぎない.同様なことはすでに他の属にもあり,たとえばEnterobactersahazakiiはEnterobacter属のどの菌種とも無関係の菌種である.
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