文献詳細
文献概要
検査技師のためのME講座 検査機器の点検と管理の実際・1
脳波計—故障の見分け方を中心に
著者: 白井康之1 石山陽事2
所属機関: 1虎の門病院臨床生理検査部 2虎の門病院生理学科
ページ範囲:P.247 - P.251
文献購入ページに移動脳の活動電位の変動を増幅して記録する装置が脳波計です.原理的には心電計と同じで,脳の活動電位は頭皮上などに装着された電極からその導出線(リード線)を通して電極箱に接続され,さらにそこから脳波計本体への信号として導かれます.脳波計の内部は,図に示すようなブロックに分けることができます.
まず,入力部に入った脳波の信号は電極選択器で各チャンネルごとに,任意の二つの電極からのものが選ばれます.そして各チャンネルごとに,その選ばれた信号を増幅部へ導きます.増幅部では最初に前置増幅器(プレ・アンプ)によって主に二つの信号間の電位差を増幅します.前置増幅器には交流雑音などの同相雑音を除くために,差動増幅器が使われています.また一般に前置増幅器には,低域の周波数特性を決める時定数回路,それに並列したインスト回路,高域の周波数特性を決めるフィルター回路などが含まれています.前置増幅器で増幅された信号は,やはり増幅部の中の主増幅器へ導かれます.この増幅器は時定数回路のない直流結合(DC結合)になっています.主増幅器は電流増幅を行い,ペン・ガルバノメーターを駆動させるのに必要な電力を記録部に供給します.記録部では増幅部から入力された電流に応じて,ペン・ガルバノメーターのペンを振らせます.このほかに,脳波計には入力部,増幅部,記録部に必要な電力を供給する電源部があります.
掲載誌情報