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アンチトロンビン製剤とその意義
著者: 青木延雄1
所属機関: 1自治医科大学止血血栓
ページ範囲:P.253 - P.254
文献購入ページに移動かつて,血漿中のトロンビン阻害活性は,その作用様式に従って,アンチトロンビンⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵと分けられた.Ⅰはフィブリンのトロンビン吸着作用,Ⅱはヘパリンと協力してトロンビンを不活性化する因子(ヘパリン協同因子),Ⅲはトロンビンを時間をかけて徐々に不活性化する因子,Ⅳはプロトロンビンがトロンビンに活性化されるときに出現する抗トロンビン作用,Ⅴはフィブリン分解産物の抗トロンビン作用,Ⅵはリウマチ,膠原病などに出現する病的抗凝固因子を指したが,そのうちⅣはその存在が否定され,ⅡはⅢと同一の物質であることが判明し,結局,生理的に最も重要なのは,アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)のみであることが現在広く認められている.したがって,Ⅲはあまり意味がなく,単にアンチトロンビンと呼ばれてもよいわけであるが,依然として習慣上Ⅲをつけて呼んでいる.
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