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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻3号

1984年03月発行

文献概要

トピックス

アンチトロンビン製剤とその意義

著者: 青木延雄1

所属機関: 1自治医科大学止血血栓

ページ範囲:P.253 - P.254

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 アンチトロンビンⅢ(antithrombin Ⅲ;AT Ⅲ)は,正常に血漿中に存在する分子量65,000の糖蛋白であり,蛋白分解酵素(セリンプロテアーゼ)阻害因子の一つである.特に,活性化された凝固因子すなわちトロンビンとⅦ,Ⅸ,Ⅹ因子の活性型(これらはいずれもセリンプロテアーゼである)の活性を阻害する.
 かつて,血漿中のトロンビン阻害活性は,その作用様式に従って,アンチトロンビンⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵと分けられた.Ⅰはフィブリンのトロンビン吸着作用,Ⅱはヘパリンと協力してトロンビンを不活性化する因子(ヘパリン協同因子),Ⅲはトロンビンを時間をかけて徐々に不活性化する因子,Ⅳはプロトロンビンがトロンビンに活性化されるときに出現する抗トロンビン作用,Ⅴはフィブリン分解産物の抗トロンビン作用,Ⅵはリウマチ,膠原病などに出現する病的抗凝固因子を指したが,そのうちⅣはその存在が否定され,ⅡはⅢと同一の物質であることが判明し,結局,生理的に最も重要なのは,アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)のみであることが現在広く認められている.したがって,Ⅲはあまり意味がなく,単にアンチトロンビンと呼ばれてもよいわけであるが,依然として習慣上Ⅲをつけて呼んでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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