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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻4号

1984年04月発行

文献概要

マスターしよう基本操作

精製水の作り方

著者: 江﨑好郎1 吉川智加男1 中恵一1 赤井俊洋1 奥田清1

所属機関: 1大阪市立大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.357 - P.364

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 臨床検査における水の役割は大きく,特に測定の正確度に対して著しい誤差要因となりうる.また日常検査において,水の純度の不安定さは精度に大きな影響を与えることになる.ところが,わが国においては試薬用水の水質を定めた純水規格がなく,日本工業規格においても「分析に用いる水は,蒸留水または脱塩水(イオン交換樹脂によって精製した水)とする」(化学分析通則JIS K 0050-1964)と記述されているだけである.一方,米国では試薬級純水について臨床病理学会(College of American Pathologists;CAP),試験・試薬協会(American Society for Testing and Materials;ASTM),国立臨床検査標準化委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standard;NCCLS)などの機関が規格を出している(表1).臨床検査用水としては,これらの規格を参考にするのが確実であろう.表2に各タイプの純水の用途を示す.
 精製水製造のための単位操作には濾過,吸着,イオン交換,蒸留,そして逆浸透があるが,個々の単位操作のみでは一長一短があり,結局,希望する水を得るためにはこれらの単位操作を組み合わせて用いることになる.なお,精製水の一次原水にはほとんどの場合,水道水が用いられるが,これについては法的水質規準(水質基準に関する省令,昭和53年8月,厚生省令第56号)が定められている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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