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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻5号

1984年05月発行

文献概要

病気のはなし

手足口病

著者: 浦野隆1

所属機関: 1東京都済生会中央病院小児科

ページ範囲:P.394 - P.400

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 手足口病などと奇妙な名称で呼ばれる本症の由来は,英語病名Hand,foot and mouth disease(以下,HFMDと略)の直訳によっている.本症は病名のごとく手背,手掌あるいは足背,足蹠に赤い斑丘疹または水疱新を生じ(写真1,2),同時に口腔内にヘルパンギーナにやや類似した粘膜疹を伴う(写真3),乳幼児が罹患することの多い夏かぜの一種である.その主病原は腸管系ウイルス群のうち,コクサッキー(Coxsackie)A16型(以下,Cox. A16と略)ウイルスおよびエンテロウイルス(Enterovirus)71型(以下,E. 71と略)である.
 その際だった臨床上の特徴から,一部の症例を除いて一般に従来から知られている特異的な急性熱性発疹症との鑑別は容易である.しかも大部分のもので重症化することがなかったといったところから,当初あまり臨床的に注目されていなかった疾患である.しかしながら,後述するようにE. 71型による本症の出現,特に1973年におけるHFMDの流行時に,その約24%ほどにも髄膜炎の合併症例がみられたとの報告1)があってから,十分警戒を要する疾患として再認識されるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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