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マスターしよう基本操作
小川培地の作製法
著者: 藤代泰子1
所属機関: 1大東医学技術専門学校
ページ範囲:P.617 - P.624
文献購入ページに移動 結核菌の栄養要求は比較的簡単であるが,菌体に表在するロウ様物質(ワックスC,D)1)のために栄養の摂取がきわめて遅く,そのために発育に長時間を必要とする.また結核菌は,不飽和脂肪酸や,カンテン,ペプトン中に含まれる発育阻害物質(特に遊離脂肪酸)に対して鋭敏なため,結核菌の培養にはそれらの発育阻害物質を含まない培地を用いる必要がある.そこで考案されたのが,卵を基質として固形化した凝固卵培地である.これは比較的雑菌が生えにくく,保存に耐え,再現性も高い.凝固卵培地で今日,世界的に最も広く用いられている培地にレーヴェンシュタイン-イェンセン(Lowenstein-Jensen)培地,およびこの培地を改良し,結核に対する国際連合(International Union aginst Tuberculosis;IUT)によって推進されているIUT培地(別名,レーヴェンシュタイン-イェンセン培地ともいう)2)がある.しかし,わが国では,厚生省の結核菌検査指針の中で分離培養および薬剤感受性試験に小川培地が用いられていることから,小川培地が常用されている.
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