検査と技術12巻8号

1984年08月発行

技術講座 輸血

唾液による血液型物質検出法

著者： 冨田忠夫¹

所属機関： ¹大阪府赤十字血液センター検査一課

ページ範囲：P.710 - P.714

文献概要

　血液型の中でも特にABOシステムにかかわる血液型物質（A，B，H）は，そのヒトの全身に分布しており，またこれら型物質は，体からの分泌液や体液中にも含まれている．ただ，唾液中には遺伝的に型物質を分泌している（分泌型）人と，分泌していない（非分泌型）人とがあり，Lewis式血液型とも関連がある（表）．
　血液型検査は，主に血液のみで型判定は可能であるが，まれに血液だけでは型判定困難な亜型，変種がある．これらのABO型を確定するとき，時として唾液，尿などが検体として用いられるが，ことに唾液中の型物質とその分泌の有無は判断の重要な手がかりになる．