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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻8号

1984年08月発行

文献概要

技術講座 病理

PAP法で染色できるもの

著者: 木崎智彦1 川島敦子1 橋本由美1

所属機関: 1神戸大学第一病理学講座

ページ範囲:P.715 - P.719

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 病理組織診断は主としてホルマリン固定パラフィン切片によるH・E染色標本によってなされてきたが,これには一定の限界があり,診断困難な症例がしばしばみられた.このような場合,今までは補助手段として特殊染色を用いてきたが,近年,免疫組織学的染色の開発,普及により,これが補助手段とされつつある.この手技を効果的に利用することによって細胞の同定,分化,機能を明確に判別できるため,経験に頼った病理診断も正確になり,病理組織分類もより細分化できるようになった.大学研究室や病院病理検査室においては,実際,免疫組織学的手技を専門とする若い技師が増加しつつあるので,彼らが血清学的免疫学的な基礎知識を十分に身につけておく必要がある.
 免疫組織学的手段としては大きく蛍光抗体法と酵素抗体法があり,後者の中にPAP(ペルオキシダーゼ-抗ペルオキシダーゼ複合体)法が入る.これは感度が高く特異性も強いので,日常のホルマリンパラフィン切片で十分に染色される場合が多く,今後利用価値は十分あるものと思われる.さらに最近はPAPキット(DAKO,IMMULOK)の市販化によって一次抗体や二次抗体を調節する必要がなくなり,非常に簡単にできるようになった.その一次抗体の種類も徐々に増加の一途にあり,非常にうれしいことである.しかし,高価であること,有効期限があること,技術的な不慣れさなど,まだ問題点も多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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