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文献詳細

雑誌文献

検査と技術12巻9号

1984年09月発行

文献概要

トピックス

プロテインC

著者: 鈴木宏治1

所属機関: 1三重大学

ページ範囲:P.843 - P.844

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 血液凝固反応は,複数の酵素ならびに補酵素が,それぞれの反応の場である陰性荷電固相面あるいは血小板膜リン脂質面などで相互に影響し合い,カスケード機構と呼ばれる連鎖反応により血栓を形成し,出血を阻止する生体防御反応の一つである.この反応は同時に,生体に不都合な過凝固を阻止する制御調節機構を備えている.凝固反応に関与する酵素は,ⅩⅢa因子を除いていずれもセリンプロテアーゼであり,これらは血液中のプロテアーゼインヒビターで阻害される.例えば,内因系凝固開始反応に関与するⅩⅡa因子,ⅩⅠa因子,カリクレインなどは主にC1-インアクチベーターにより,またトロンビン生成に関与するⅨa因子,Ⅹa因子,トロンビンなどは主にアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)によって阻害される.
 カスケード反応機構の特徴の一つは反応増幅機構にあり,そこでは高分子キニノゲン,Ⅴ因子,Ⅷ因子などの補酵素が重要な役割を果たす.補酵素は,酵素と基質をその分子上に化学量論的に配置させることにより,活性化反応を著しく高める.トロンビンで活性化されたⅤa因子は血小板膜リン脂質上でⅩa因子のレセプターとして機能し,プロトロンビンの活性化をⅩa因子のみの場合に比較して数万倍も高める.同様の性質は,Ⅸa因子によるⅩ因子の活性化に関与するⅧa因子にも認められる.したがって,活性化酵素のみならず,Ⅴa因子あるいはⅧa因子などの補酵素活性の阻害も,凝固反応の制御につながる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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