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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻1号

1985年01月発行

文献概要

病気のはなし

骨髄線維症

著者: 柴田昭1

所属機関: 1新潟大学内科学

ページ範囲:P.10 - P.15

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骨髄線維症とは
 骨髄線維症とは文字どおり骨髄に広範な線維化をきたす疾患を総称するものであるが,このような病態は各種の白血病,細網症,多発性骨髄腫,大理石病あるいは癌の骨髄転移や結核などの場合に二次的にみられるものと,そのような基礎疾患の全く認められないものとがある.通常,前者を続発性骨髄線維症,後者を原発性骨髄線維症と呼んでいる.原発性とか特発性という用語は原因不明という意味であるが,ここでは原発性骨髄線維症について述べることとする.
 原発性骨髄線維症は1879年Heuckによって初めて報告が行われてから,既に多数の症例報告がみられるが,我が国においては極めてまれとされてきた.ところが1963(昭和38)年,筆者を含めた4名の演者によって第25回日本血液学会で本症の宿題報告が行われてから,かなりの報告がみられるようになり,現在までにおそらく300例近い報告があるものと思われる.このことは我が国で長い間本症がよく認識されていなかったためにまれとされてきたことを物語るものといえるが,しかし,この宿題報告以後の推移をみても欧米に比べると著しく少ない.これは後述するように,本症といろいろな点で類似点のある真性多血症が我が国で少ないのと軌を一にする傾向である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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