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技術講座 血液
血液凝固検査7—凝固インヒビターの測定(1)—循環抗凝血素
著者: 中村克己1
所属機関: 1鳥取大学臨床検査医学
ページ範囲:P.911 - P.914
文献購入ページに移動血液凝固因子が活性化されても一方的に凝固が進行しないのは,生理的にあるアンチトロンビンIIIなどの凝固抑制因子(凝固インヒビターともいう)による阻止があるからであるが,この生理的な物質とは異なり,後天性に病的に発生する凝固抑制因子があって,凝固因子またはその中間産物の働きを直接阻止する.この後天性に発生する凝固抑制因子が,一般に循環抗凝血素(circulatinganticoagulants)と呼ばれているものである.この循環抗凝血素が,ある量を超えると出血傾向が起こる.
循環抗凝血素は,血友病A,Bなどの先天性凝固因子欠乏症のみでなく,全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患,妊娠,分娩後,癌,異常蛋白血症,感染症,ある種の薬剤投与後,老齢者などにも出現し,このような場合,患者の出血傾向が凝固因子欠乏によるものか,循環抗凝血素の過剰によるものなのか,鑑別を必要とする.
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