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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻10号

1985年10月発行

文献概要

ザ・トレーニング

検査材料の外観と検出微生物の種類—糞便を中心に

著者: 久保勢津子1

所属機関: 1千葉大学病院検査部

ページ範囲:P.929 - P.932

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 腸管感染症の検査材料は糞便である.その病原体はウイルス,細菌,原虫,そして寄生虫と多いが,重症で臨床上重要となる腸炎には細菌性のものが多い.細菌性下痢には細胞侵入型,いわゆる腸粘膜上皮細胞に病原性が侵入して増殖し,炎症を起こす場合と,毒素エンテロトキシン産生により腸粘膜に異常を起こさず,機能的変化を起こし水様性下痢を起こす場合などで,糞便の外観は異なる.
 日常,腸管感染症の病原体として,細菌は下痢便から約20%分離されている.その検査の対象となる病原菌は,サルモネラ,赤痢菌,病原大腸菌,腸炎ビブリオ,コレラ,ウェルシュ菌,セレウス菌,黄色ブドウ球菌などであり,これらに加えて1982年3月厚生省が食中毒病原菌として新たに7菌種を追加指定した.さらにこの数年,輸入感染症に伴う病原菌,偽膜性大腸炎の原因となるClostridium difficileなども含め病原菌検索は幅広くなっているが,患者の症状,下痢の状態を把握できれば検査を進めていくうえで助けになり,病原菌分離の意義と十分に認識できると考えられる.そこで重要な検査材料の外観と分離される病原性の種類について考えてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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