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検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
細菌の生物学的性状・1
著者: 島田俊雄1
所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌部
ページ範囲:P.986 - P.988
文献購入ページに移動ONPGテスト
ONPG,すなわちο-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドのテストは,菌のβ-ガラクトシダーゼの存在を確かめるテストである.
β-ガラクトシダーゼは乳糖の分解に関与する酵素で,この酵素の証明はとりもなおさず乳糖分解性の確認であるが,菌の乳糖分解は本酵素と透過酵素の2種類の酵素によって行われる.したがって,ONPGテストの成績は必ずしも従来法による乳糖分解テストのそれとは一致しない.例えば,腸内細菌科のHafnia alveiは乳糖分解テストでは陰性の結果を示すが,それらの90%以上の菌株はβ-ガラクトシダーゼテスト(ONPGテスト)で陽性である.このような相違は,菌種または菌株によってはβ-ガラクトシダーゼが形成されても,乳糖を細胞内にとり入れる透過酵素がないために乳糖に作用しえないことや,あるいは乳糖からの酸産生が弱くて,培地のアルカリ化のために確認できないことなど,種々の複雑な理由によるものと思われる.
ONPG,すなわちο-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドのテストは,菌のβ-ガラクトシダーゼの存在を確かめるテストである.
β-ガラクトシダーゼは乳糖の分解に関与する酵素で,この酵素の証明はとりもなおさず乳糖分解性の確認であるが,菌の乳糖分解は本酵素と透過酵素の2種類の酵素によって行われる.したがって,ONPGテストの成績は必ずしも従来法による乳糖分解テストのそれとは一致しない.例えば,腸内細菌科のHafnia alveiは乳糖分解テストでは陰性の結果を示すが,それらの90%以上の菌株はβ-ガラクトシダーゼテスト(ONPGテスト)で陽性である.このような相違は,菌種または菌株によってはβ-ガラクトシダーゼが形成されても,乳糖を細胞内にとり入れる透過酵素がないために乳糖に作用しえないことや,あるいは乳糖からの酸産生が弱くて,培地のアルカリ化のために確認できないことなど,種々の複雑な理由によるものと思われる.
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