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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻11号

1985年11月発行

文献概要

技術講座 血清

CRPの測定法

著者: 亀子光明1 金井正光1

所属機関: 1信州大学病院中央検査部

ページ範囲:P.989 - P.994

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 C反応性蛋白(C-reactive protein;CRP)は,肺炎双球菌(Streptococcus pneumoniae)の細胞壁から抽出されたC多糖体と沈降反応を起こす,急性熱性疾患患者の血清蛋白として,臨床家のTillettと細菌学者のFrancisにより1),1930年に初めて報告された.最初は抗体と考えられ,本反応に関与する血清因子は,C-沈降素(C-precipitin)と呼ばれた.CRPと呼ばれるようになったのは,1941年,本反応にはCa2+の存在が必要であることを示したAbernethyとAvery2)によってである.彼らはこのとき,CRPは急性炎症で血清中に出現し,正常血清中では認められないことも併せて報告している.日常検査としてのCRP測定の普及は,MacLoad3)らやMcCarty4)が,CRPを純化し,それに対する特異抗血清の作製を可能にしたことに始まる.
 CRPは,分子量約21,500の五つのサブユニットの疎水結合から成り,血清中では環状五量体構造(十量体としても存在)をとり,等電点4.8,沈降定数7.5Sで電気泳動的にはγ領域に移動度をもつ.ヒトのCRPには分子の不均一性,アロタイプはなく,糖鎖も結合していない.CRPはCa2+存在下でリン脂質(phosphorylcholine)と結合する性質があり,この性質がCRPの生物活性(補体の活性化,細胞との相互作用など)やCRPの機能(細菌感染に対抗する液性因子,循環血液中の異物の除去など)に関係しているとされている5〜7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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