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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻2号

1985年02月発行

技術講座 細胞診

酵素抗体法の細胞診への応用

著者: 長村義之1 渡辺慶一1

所属機関: 1東海大学病理学

ページ範囲:P.162 - P.168

文献概要

酵素抗体法の細胞診への応用
 近年,免疫組織化学は主としてパラフィン切片を中心として日常の病理診断に盛んに応用されてきており,現在,組織病理診断学において不可欠の手段となってきている.特に,腫瘍の良性悪性の鑑別,上皮性あるいは非上皮性の腫瘍の鑑別,腫瘍の組織形の確定,悪性リンパ腫,形質細胞腫の確定診断などに,その威力を発揮しているといえる.最近注目されているいわゆる中間フィラメント(intermediate filament)にはケラチン,ビメンチン,デスミン,ニューロフィラメント,グリア原線維酸性蛋白(glial fibrillary acidic protein;GFAP)などが含まれ,それぞれ組織型に特異性を持ち,腫瘍の組織型の確定に特に有用であるとされている(例えば,ケラチンは上皮性腫瘍の,デスミンは筋原性腫瘍の,GFAPはグリオーマのそれぞれ診断根拠となる).
 一方,細胞診領域においても,先に述べた組織診断における同様の診断上の問題点があり,免疫組織化学的な手法により解決することを要求されることが多い.我々はこれまでの細胞診における酵素抗体法の応用において,体腔液中の癌細胞と中皮細胞の鑑別に癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen;CEA)の染色が極めて有効であることを経験している(例えば,癌細胞はCEA陽性であるが,中皮細胞はCEA陰性でケラチン陽性である).また,後述するように,乳腺細胞診,婦人科細胞診,針生検細胞診などにも酵素抗体法が応用されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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