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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻3号

1985年03月発行

文献概要

病気のはなし

筋萎縮性側索硬化症

著者: 国本雅也1

所属機関: 1東京大学脳研究施設神経内科

ページ範囲:P.220 - P.225

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筋萎縮性側索硬化症とは
 筋萎縮性側索硬化症は骨格筋の収縮活動をつかさどる運動ニューロンが変性し,そのために起こってくる筋萎縮症である(写真1,2).神経学領域では英語のamyotrophic lateral sclerosisを略してALSとも呼ばれている(以下ALSと呼ぶ).
 図1はヒトの随意運動にかかわる神経・筋経路の略図である.随意運動をつかさどる神経細胞,すなわち運動ニューロンは大きく分けて2種類ある.大脳皮質運動領野にあって運動の司令を出す第1次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と,この司令を受けて直接筋肉を支配している第2次運動ニューロン(下位運動ニューロン)である.この第2次運動ニューロンは脳幹から脊髄に分布しており,脊髄では前角に存在する(図2).第2次運動ニューロンはおのおの一定の筋肉のいくつかの筋線維に突起を送っており,両者で一つの機能単位を成している.そこで,一つの第2次運動ニューロンとそれが支配する筋線維群とをまとめて神経筋単位(neuromuscular unit)と呼ぶ(図1).ALSの病変はこの第1次および第2次運動ニューロンに選択的に起こり,特に第2次運動ニューロンの変性により筋萎縮が生ずる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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