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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻4号

1985年04月発行

文献概要

マスターしよう基本操作

炭酸ガス培養法

著者: 池田政勝1

所属機関: 1東海大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.367 - P.372

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 炭酸ガス培養は,大気中より炭酸ガス濃度の高い環境を人工的に作り,その環境下で培養を行う方法であり,炭酸ガス要求性菌の分離培養や組織培養,細胞培養などに利用されている.細菌は増殖時における酸素に対する反応によって,好気性菌,微好気性菌,通性嫌気性菌,嫌気性菌の4グループに大別される(表).これらの中で炭酸ガス培養を必要とする菌は微好気性菌である.一般に微好気性菌は炭酸ガス濃度の高い所(通常5〜10%)でよく発育し,大気条件下では全く発育しないか,発育が極めて不良の場合が多い.また同時に大気中より酸素分圧の低い所でよく発育し,半流動培地に穿刺培養すると培養表層よりやや深部の所で最もよく発育する.なお,Campylobacter属は炭酸ガス濃度を高めるだけでなく,酸素分圧を下げなければ発育しない.
 炭酸ガス培養法といえば古くから使用されてきたローソク培養法(candle jar extinction method)が連想されるが,最近ではガス発生袋を用いて密閉容器中で炭酸ガスを発生させる方法や,ガスボンベから炭酸ガスを送気する炭酸ガス培養装置が各種開発され,普及している.ここではこれらの三法について述べるが,上述した理由で,目的とする菌種によって培養方法を選定する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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