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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻5号

1985年05月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

4-ニトロフェノールのpKaと吸収スペクトル

著者: 山舘周恒1

所属機関: 1日本大学板橋病院臨床検査部

ページ範囲:P.423 - P.427

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 4-ニトロフェノール(4-nitrophenol)の最大吸収波長(λmax)は318 nmであるが,解離して4-ニトロフェノキシドイオン(4-nitrophenoxide ion)になることによってλmaxは401nmに移動する.日常,臨床化学分析において4-ニトロフェノール誘導体を基質として酵素活性を測定する際には,この吸収スペクトルの移動する現象を利用して基質量の変化を知る.アルカリホスファターゼ活性やα-アミラーゼ活性の測定時の基質である4-ニトロフェニルリン酸(4-nitrophenylphosphate)や4-ニトロフェニルマルトオリゴサッカライド(4-nitrophenylmaltooligosaccharide)も318nm付近にλmaxがあるが,これに酵素が作用して4-ニトロフェノールが遊離し,この4-ニトロフェノールが図1のように4-ニトロフェノキシドイオンに解離した状態で存在することによって,405nm付近の波長で測定が可能となる.
 この解離する割合は,その物質のPKaと反応系のpHによって決まる.4-ニトロフェノールのPKaは約7であるから,アルカリホスファターゼ活性の測定時のようにpH10以上の反応系では,ほぼ100%解離しているものとみなすことができる.しかし,α-アミラーゼ活性測定法として近年登場した4-ニトロフェニルマルトオリゴサッカライドを基質とした方法1)では,アミラーゼの至適pHを考慮してpH7付近で反応系を組むため,4-ニトロフェノールの解離する割合が問題となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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