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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻5号

1985年05月発行

文献概要

トピックス

光カテーテル血圧計

著者: 松本博志1

所属機関: 1東大胸部外科

ページ範囲:P.467 - P.468

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 心臓カテーテル検査は現在でも心臓病の診断には必須の検査の一つであるが,これはカテーテル式血圧計で動静脈を経由してカテーテルを心腔内およびその近傍の血管内に挿入して血圧の直接測定を行うものであり,通常はカテーテル内腔を液体で満たし,この液柱を介して圧を外に導き,体外に接続された圧変換器のダイヤフラムの変位を電気信号に変換する構造である.このため液柱の運動とダイヤフラムのコンプライアンス,液体とカテーテル壁との粘性による抵抗などが絡み複雑な圧応答を示す.これは変動圧(脈波)の波形のひずみとなって現われ,脈波の測定では大きな問題となっていた.また,個々のカテーテルの違いや気泡の混入による応答の著しい変化や,内腔での血液の凝固による測定障害が生じる.
 これらの問題を解決するためカテーテルの先端に変換器を配置することが考えられ,超小型の半導体素子をもった先端型圧トランスジューサーも開発されたが,ここに述べるものはガラス繊維の発達と呼応して考案され1),カテーテルの中に送光用と受光用ガラスファイバを充填し,カテーテルの先端で伝播してくる光に光量変化を与える原理にもとづくもので,体内に電気を送らないことからも安全性に優れている.光ファイバを用いた圧力測定装置の構成は,光源と光伝播路の光ファイバ,先端受圧部の振動板による変位-光量変化部分,受光用ファイバからの光を電気変換する光検出器の四つの部分から成っている(図).光ファイバはクラッド型で,高屈折率の芯ガラスを低屈折率のガラスで被覆した直径数十μmの繊維である.このような単繊維を束ねて送光用ファイバと受光用ファイバの適切な配列にする.受圧部の振動板は超小型であり,この変換器では最も重要な部分である.加工ひずみを残さず,反射鏡も兼ねるように片面を研磨し鏡面に仕上げる.振動板は薄くする必要があり,計算上は1.7mmφの振動板で厚さ12μmで,8F,7F,5Fサイズのカテーテルが製作される.
 カテーテルは心腔内操作が容易であるように可擁性,弾性について十分検討されている.このカテーテルの性能は圧力レベルで0〜300mmHgにわたって直線性が良く,圧力感度は10mV/mmHg,温度ドリフト1mmHg/℃以下,周波数特性は血圧でDC〜500Hz,心音で2.OHz〜4.OkHzであるように設計されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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