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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻6号

1985年06月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

等電点および等速電気泳動法

著者: 戸田年総1

所属機関: 1東京都老人総合研究所生化学部

ページ範囲:P.505 - P.510

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 電気泳動法は血清や尿,組織抽出液中の電解質を分離分析する有効な手段であり,特にセルロースアセテート電気泳動は,血清蛋白質の簡便な分析法として臨床検査室では欠くことのできない技法となっている.しかしながら近年,検査内容の高度化に伴い,癌遺伝子産生蛋白質(oncogeneproducts)などの微量な異常蛋白質の検出や合成後修飾(post-translational modification)などによってわずかに構造の異なる異性酵素分子の分離分析技術が望まれている.このうち検出の高感度化については,銀染色法(silver staining)および酵素免疫ブロット法(enzyme-linked immunoblotting)が利用され始めている.銀染色法は,非特異的ながら,ポンソーやアミドブラックといった従来の色素染色法に比べて約50倍の感度を有しており,尿や腹水など蛋白質濃度の低い検体の分析に適している.また酵素免疫ブロット法は,ニトロセルロース膜に吸着転写された蛋白質に一次抗体(検出すべき蛋白質に対する特異抗体)を結合させ,さらに二次抗体(パーオキシダーゼなどの酵素で標識された抗免疫グロブリン抗体)を用いて酵素活性として検出する方法であるため,特定の蛋白質を高感度に検出することができる.
 一方,分離性能の優れた電気泳動法としては,蛋白質の電気的性質の違いに基づいて分離を行う等電点電気泳動と等速電気泳動,および蛋白質の分子量の違いに基づいて分離を行うSDSポリアクリルァミドゲル電気泳動,さらに両者を組み合わせた二次元電気泳動が利用され始めている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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