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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻7号

1985年07月発行

文献概要

病気のはなし

つつが虫病

著者: 山作房之輔1

所属機関: 1水原郷病院

ページ範囲:P.584 - P.588

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 つつが虫病は,R. tsutsugamushiを保有するツツガムシの幼虫に媒介されるリケッチア性感染症である.我が国では以前から秋田県雄物川,山形県最上川,新潟県阿賀野川,信濃川の中・下流流域の河川敷の草むらに立ち入り,ツツガムシに刺されて夏に発生し,死亡率が19〜45%にも達する風土病として恐れられていた.しかし,その後,本疾患は日本,インド,オーストラリアを結ぶ三角形の地域に広く存在していることが判明し,主に草原地帯で発生するところからscrub typhus(草原熱)と呼ばれるようになった.重症度は地域,発生時期によって異なり,第二次世界大戦中にこの地域で戦った日米両軍の間に数万人の患者が発生したが,死亡率は0.6〜35.3%と大きな差がみられた.
 終戦後の1948(昭和23)年10〜11月に富士山麓で演習した米軍兵士が罹患した急性発疹性熱性疾患がつつが虫病とわかり,我が国にも夏以外の時期に発生するつつが虫病の存在することが判明した.さらに,1951〜52(昭和26〜27)年の冬には八丈島を中心に伊豆諸島で500名を超える,予後のよいつつが虫病の大流行が観察されたが,翌年から急速に終息した.当時,これらの秋や冬に発生するものを,従来から存在したいわゆる"古典的つつが虫病"と区別して"新型つつが虫病"と呼び,この呼び方は現在でもしばしば使われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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