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文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻7号

1985年07月発行

文献概要

基礎実習講座

植物凝集素とその使い方

著者: 古関節子1 小松文夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学病院輸血部

ページ範囲:P.629 - P.632

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 ある種の植物から抽出したエキスの中には,ヒト赤血球を凝集させる物質が含まれていることがある.このような赤血球凝集活性を示す植物由来の物質を植物凝集素(phyohemagglutinin)という.この植物凝集素を用いることによって,ヒト赤血球のある種の血液型を判定することが可能である.一般に血液型判定に用いられる抗血清は動物由来の自然抗体または免疫抗体であり,植物凝集素は抗血清とはいわないが,植物凝集素の中には優れた血液型特異性を示すものがあり,それらの凝集素を用いて血液型を判定することができる.その場合の反応は,動物由来の抗血清では得られないような特徴を示すことがあり,それによって血液型物質に関する細かい性質まで分析することも可能である.
 植物凝集素は,一般に豆科植物の種子に含まれていることが多い.1888年Stillmark1)はRicinus communis(ヒマ)の種子から抽出した液がヒト赤血球を凝集することを見いだした.その後,それ以外の植物からも赤血球を凝集する物質が次々と発見された.しかし当初は,植物凝集素は単に赤血球を非特異的に凝集するにすぎないとして,あまり重要視されることはなかった.ところがその後,植物凝集素にはヒト,ヒツジ,ウサギ,モルモットやブタなど,動物の違いによって赤血球を凝集させる活性に差があることがわかり,また1949年Boydら2)は,植物凝集素は赤血球の表面特異性の違いによって異なった凝集性を示すことに気づき,植物凝集素には血液型特異性を示す物質,すなわち動物由来の抗血清と近似した性質をもつ物質があることを発見した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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