icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術13巻9号

1985年09月発行

文献概要

技術講座 血液

血液凝固検査6—血液凝固因子の測定3—合成基質による方法

著者: 羽田雅夫1

所属機関: 1東京医科大学臨床病理

ページ範囲:P.819 - P.824

文献購入ページに移動
合成ペプチド基質の由来3)
 フィブリノゲンがトロンビンによってフィブリンを形成するときに,まずフィブリノゲンからフィブリノペプチドAを遊離し,フィブリンモノマーとなる.Blombäck,Iwanaga,Gröndaleら(1968)は,このフィブリノゲンから分離して出てくるフィブリノペプチドAのアミノ酸配列を決定した.そこでフィブリノペプチドAに類似したペプチドを合成すれば,それはトロンビンに特異性を有する基質となりうるということから,どのアミノ酸がトロンビンに対して特異的な情報を与えるか,という研究が行われた.そしてフィブリノペプチドAのアミノ酸配列で16番目のArg(アルギニン)と9番目のPhe(フェニルアラニン)が,トロンビンの酵素作用に重要な役割を果たしていることが解明された.このようにトロンビンがフィブリノゲンのアミド結合を加水分解することに注目し,Phe-Val-Argに発色原として,p-ニトロアニリン(pNA)を結合させたS-2160:Bz-Phe-Val-Arg-pNA・HCIが最初に発表された合成ペプチド基質であった(図1)4)
 この基質は,N末端のアミノ基にベンゾイル基(B2-)を結合させてアミノの働きをマスクし,C末端のカルボン酸にpNAを結合させている.またクロモザイムTH:Z-Gly-Pro-Arg-pNA-HCl,S-2238:H-D-Phe-Pip-Arg-pNA・2HCl,ペプチド-MCA基質(α-トロンビン):Boc-Val-Pro-Arg-MCAなどがある.またプロトロンビン活性においてプロトロンビンの活性X因子(Xa)による開裂部位は,プロトロンビンの分画-2からトロンビンAの部位と,トロンビンAとBの部位である(図2)5),この合成基質にはS-2222:Bz-Ile-Glu-Gly-Arg-pNA・HCl,ペプチド-MCA基質(Xa因子:F. Xa):Boc-Ile-Glu-Gly-Arg-MCAなどの構造を示すものがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?