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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻10号

1986年09月発行

検査ファイル 項目

大腸菌のエンテロトキシン

著者: 安達房代1

所属機関: 1東大医科学研究所病院検査部

ページ範囲:P.1098 - P.1099

文献概要

 下痢の原因となる大腸菌は,病原大腸菌Enteropathogenic E. coli(EPEC),組織侵入性大腸菌Enteroinvasive E. coli(EIEC),毒素原生大腸菌Enterotoxigenic E. coli(ETEC),腸管出血性大腸菌Enterohemorrhagic E. coli(EHEC)の4種類に大別されている.このうちETECが菌体外に産生する下痢の原因毒素がエンテロトキシンであり,小腸に感染しコレラ様の疾病を起こす.ETECが産生するエンテロトキシンには,60℃・10分の加熱で失活する易熱性エンテロトキシン(heat-labile enterotoxin:LT)と100℃・10分の加熱によっても失活しない耐熱性エンテロトキシン(heat-stable enterotoxin;ST)の2種類がある.その産生性によってLT単独産生菌,ST単独産生菌,LT,ST両毒素産生菌の3種類に区別されている.
 エンテロトキシン産生大腸菌による下痢症は,熱帯,亜熱帯地方への旅行者が罹患することが多く旅行者下痢症の一つである.しかし最近では,国内においてもエンテロトキシン産生大腸菌による下痢症の集団発生や散発例が数多く報告されている.したがって腸管感染症の診断に際し,日常臨床検査室においても診断用免疫血清を用いる血清型別法と並行して,エンテロトキシン産生性試験を実施する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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