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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻10号

1986年09月発行

検査ファイル 用語

バイオハザード

著者: 山中喜代治1 藪内英子2

所属機関: 1大手前病院臨床検査科 2岐阜大学医学部微生物学教室

ページ範囲:P.1104 - P.1105

文献概要

 私たちは社会環境から種々の悪影響を受けている.例えば交通機関による事故や騒音や振動,開発による環境破壊,産業廃棄物による健康障害など,取り上げればきりがない.これらは一般に公害と呼ばれているが,生物,特に微生物が原因となる災害をバイオハザード(biohazard,生物災害)と呼んでいる.
 一般の人が"バイオハザード"という語を聞いて連想するのは,病原性の強い微生物を使って感染実験を行っている実験施設からの排気や排水などとともに,病原体が施設外に流出して感染例を生じることではないだろうか.1978年,英国バーミンガム大学で不適切な設備のもとで実験に使用されていた痘瘡ウイルスが換気ダクトを通して拡散し,ウイルス研究とは全く無関係の人を感染致死させたことは,まだ私たちの記憶に新しい.この事例はバイオハザードの恐ろしさを象徴しているが,実際にはバイオハザードの論議に含めなければならない事項は非常に多い.ここでは日常私たちが安易に口にしている"バイオハザード"の内容についてもう一度考え直し,微生物を扱う私たちにとっての自戒の一端にしたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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