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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻10号

1986年09月発行

トピックス

Enz-linked Ig

著者: 須藤加代子1

所属機関: 1東京慈恵会医科大臨床検査医学

ページ範囲:P.1121 - P.1121

文献概要

 酵素結合性免疫グロブリン(Enz-linked Ig)の歴史は,1964年Wildingのアミラーゼ結合Igの報告に始まる.このアミラーゼはIgと結合し高分子となっているため,マクロアミラーゼと表現された.一方,LDH結合Ig例はアイソザイム分画でテーリング像を呈し,あるいは異常位置に泳動されるため,LDHアノマリーと表現された.またAl-p結合Igはセルロースアセテート膜電気泳動も最も遅く泳動されるためAl-p6と表現されている.
 多くの酵素(CK,AST,ALT,Ac-pなど)とIgとの結合例が見いだされている.日常検査で病態との関連の解釈の困難な酵素活性の上昇を発端として,このEnz-linked Igの見いだされることが多い.現実に"LDHの5型の上昇"との報告のため肝疾患を疑われ,種々の肝機能の精査をされた症例に遭遇している1).診断のpit fall(落とし穴)と表現できる.数値になる前の生データを最初に観察する検査室の責任は重大と考えられる.LDHアイソザイム分画のテーリング像をきちんと観察し,あたかも5型上昇のように分画されるが,実際にはテーリング像が観察されることも主持医に知らせることが肝要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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