文献詳細
文献概要
病気のはなし
播種性血管内凝固症候群(DIC)
著者: 松田保1
所属機関: 1金沢大学第三内科
ページ範囲:P.1138 - P.1143
文献購入ページに移動DICとは
DICはdisseminated(播種性),intravascular(血管内),coagulation(凝固)のそれぞれの頭文字をとったもので,その名のように,さまざまの原因により全身の主として細小血管内に血栓の多発を生ずる症候群である.
一般に,血液は血管内では凝固せず,このことは当然のように考えられているが,血管外に取り出した血液は極めて凝固しやすく,むしろ長年月にわたって血管内で凝固を生ぜず,血栓症を生じないことの説明の方が難しい.血管が破綻して出血を生じたとき,止血を生じにくい状態が出血性素因であるが,DICは出血性素因とは逆の,血管内で血液が凝固しないという性質が障害された極端な血栓傾向ということができる.しかし,DICでは広範に血管内凝固を生ずるため,止血に必要な血液中の血小板やさまざまの凝固因子が血栓の材料として消費されて低下し,特異な凝固異常を呈する.このような凝固異常は消費性凝固障害と呼ばれるが,このためDICでは血栓が多発するとともに,血栓とは逆の現象である出血傾向がみられることが多く,むしろ外見上は出血が最も高頻度にみられる症状である.
DICはdisseminated(播種性),intravascular(血管内),coagulation(凝固)のそれぞれの頭文字をとったもので,その名のように,さまざまの原因により全身の主として細小血管内に血栓の多発を生ずる症候群である.
一般に,血液は血管内では凝固せず,このことは当然のように考えられているが,血管外に取り出した血液は極めて凝固しやすく,むしろ長年月にわたって血管内で凝固を生ぜず,血栓症を生じないことの説明の方が難しい.血管が破綻して出血を生じたとき,止血を生じにくい状態が出血性素因であるが,DICは出血性素因とは逆の,血管内で血液が凝固しないという性質が障害された極端な血栓傾向ということができる.しかし,DICでは広範に血管内凝固を生ずるため,止血に必要な血液中の血小板やさまざまの凝固因子が血栓の材料として消費されて低下し,特異な凝固異常を呈する.このような凝固異常は消費性凝固障害と呼ばれるが,このためDICでは血栓が多発するとともに,血栓とは逆の現象である出血傾向がみられることが多く,むしろ外見上は出血が最も高頻度にみられる症状である.
掲載誌情報