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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻11号

1986年10月発行

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トピックス

ヒトAFP標準品の制定

著者: 平井秀松1

所属機関: 1腫瘤研究所

ページ範囲:P.1210 - P.1211

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 臨床検査用の測定キットには多くの場合,既知量の標準品が添付されている.その物質の精製が容易であるか,または合成品で元素分析によって純度が表示しうるものであれば問題は少ないが,蛋白質,核酸などの天然物質の標準化には困難が伴う.AFP(α-フェトプロテイン)はその好例である.
 AFPは胎児血清.または肝癌などAFP産生性癌をもつ患者血清などを材料に精製されるが,何をもってAFPと定義するか,またもし定義されてもその純度判定の基準となると,ことは簡単ではない.現在のところAFPとはヒト胎児血清中に存在し,正常成人血中には根跡しか見いだせないα1-グロブリンといった定義となろうか.一次構造の判明している今日,理論的には化学的定義が可能であっても実際には役にたたない.したがって,現実的には各研究室またはメーカーで作られた,AFP特異的と思われる抗血清と反応する蛋白質,ということになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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