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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻12号

1986年11月発行

文献概要

技術講座 血液

血小板機能検査法3—血小板放出能(ATP,セロトニン)

著者: 前浜修爾1 藤村欣吾1 藏本淳1

所属機関: 1広島大学原爆放射能医学研究所内科

ページ範囲:P.1256 - P.1260

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 血管が外力などにより一度破綻すると,生体は失血を防ぐために可能な限りの力で止血を果たそうとする.露出した血管内皮下結合織には,まず血小板が粘着し(粘着反応),次いで個々の血小板の凝集反応が生じ,この過程においてその内容物を周囲に放出する(放出反応).放出された物質は,新たに周囲の血小板を凝集させ,一方,同時に賦活された血液凝固系の最終産物であるフィブリンは凝集血小板と絡み合いながら,強固な血栓を形成していく.血小板の放出反応は,止血に関しては最も重要な血小板機能の一つであり,実際に臨床的には,先天的にこの放出反応が欠如または低下するために出血傾向の症状を示す疾患が存在する.また多くの消炎鎮痛剤は,服薬後に血小板放出能を一過性あるいは不可逆的に阻害することが知られている.一方,ある種の薬剤はこの阻害作用を利用して,抗血小板薬として治療上使用されている.したがって血小板放出能の測定は,疾患としての血小板機能異常症の診断や,抗血小板剤の薬効を確認するうえからも重要な検査法の一つである.
 ここでは代表的な血小板放出能測定法として,アイソトープを用いるセロトニン放出能と,ルシフェリンールシフェラーゼ法を用いたATP放出能について,それぞれの測定法を紹介する.なお,本稿で述べる放出物質は血小板内のdense granuleと呼ばれる顆粒からの放出物質であって,β-トロンボグロブリン(β-TG)や血小板第4因子(platelet factor 4;PF-4)など,α-granuleから放出される物質の測定については他稿に紹介されるので省略する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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