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技術講座 血液
血小板機能検査法4—血小板放出能(β-TG,PF 4など)
著者: 木村昭郎1 藏本淳1
所属機関: 1広島大学原爆放射能医学研究所内科
ページ範囲:P.1355 - P.1358
文献購入ページに移動PF 4とβ-TGについて
血小板のα顆粒と濃染顆粒に含まれる主な成分を表1に示したが,血小板第4因子(platelet factor 4;PF4)とβ-トロンボブロブリン(β-thromboglobulin;β-TG)はいずれもα顆粒に含まれる血小板固有の蛋白質であり,血小板の活性化に伴い血小板外に放出される1〜3).PF4は分子量7,700の四つのサブユニットから成り,血小板からはプロテオグリカンとの複合体を形成して放出される.β-TGはセルロースアセテート膜による電気泳動上β-グロブリン分画にくることからその名が与えられたもので,分子量8,850の四つのサブユニットから成る.PF4はヘパリンに対する親和性が非常に強く,ヘパリン中和作用を有するが,そのほかに白血球遊走作用,抗コラゲナーゼも認められている.また内皮表面のヘパリナーゼ感受性グリコサミノグリカンにアンチトロンビンⅢが結合するのを拮抗的に阻害するといわれている.β-TGの作用は不明な点が多いが,白血球遊走作用が認められている.
正常ヒト血小板内のPF4量は18.0±2.0μg/109血小板(mean±SEM,n=14),β-TGは17.7±1.6μg/109血小板と報告されている.PF4とβ-TGはともに血漿中の濃度は血管内での血小板放出反応のよい指標と考えられるため血栓症の診断,血栓形成準備状態の診断,血栓症の薬物治療効果の判定に利用されている.例えば,脳血栓の発作前日に上昇し,発作後しだいに低下を示す症例とか,心筋梗塞の発作時に高値をとっていたものが発作後治療経過に伴い低下し,正常値に復した症例も報告されている.
血小板のα顆粒と濃染顆粒に含まれる主な成分を表1に示したが,血小板第4因子(platelet factor 4;PF4)とβ-トロンボブロブリン(β-thromboglobulin;β-TG)はいずれもα顆粒に含まれる血小板固有の蛋白質であり,血小板の活性化に伴い血小板外に放出される1〜3).PF4は分子量7,700の四つのサブユニットから成り,血小板からはプロテオグリカンとの複合体を形成して放出される.β-TGはセルロースアセテート膜による電気泳動上β-グロブリン分画にくることからその名が与えられたもので,分子量8,850の四つのサブユニットから成る.PF4はヘパリンに対する親和性が非常に強く,ヘパリン中和作用を有するが,そのほかに白血球遊走作用,抗コラゲナーゼも認められている.また内皮表面のヘパリナーゼ感受性グリコサミノグリカンにアンチトロンビンⅢが結合するのを拮抗的に阻害するといわれている.β-TGの作用は不明な点が多いが,白血球遊走作用が認められている.
正常ヒト血小板内のPF4量は18.0±2.0μg/109血小板(mean±SEM,n=14),β-TGは17.7±1.6μg/109血小板と報告されている.PF4とβ-TGはともに血漿中の濃度は血管内での血小板放出反応のよい指標と考えられるため血栓症の診断,血栓形成準備状態の診断,血栓症の薬物治療効果の判定に利用されている.例えば,脳血栓の発作前日に上昇し,発作後しだいに低下を示す症例とか,心筋梗塞の発作時に高値をとっていたものが発作後治療経過に伴い低下し,正常値に復した症例も報告されている.
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