技術講座 病理
ダイロン染色
著者:
柳原誠1
加藤文明1
渡辺久代1
所属機関:
1岐阜大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.337 - P.340
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アミロイドの組織学的検出には従来コンゴー赤染色が最もよく使用され,同染色に陽性で緑色の偏光色を示す物質をアミロイドと判定している.このほかチオフラビンTによる蛍光染色(黄色の蛍光:コンゴー赤では橙赤の蛍光),メチル紫あるいはクリスタル紫によるメタクロマジー法などが使用されている.このうち,最も信頼度の高いコンゴー赤法では続発性アミロイドーシスのアミロイド(SAA蛋白由来)は比較的強染するが,多発性骨髄腫に合併したアミロイドーシスあるいは原発性全身性アミロイドーシスのアミロイド(免疫グロブリンL鎖由来)あるいは皮膚アミロイドーシスのアミロイドはその染色性は弱い.特に皮膚のアミロイドを同定する場合,膠原線維および弾性線維の共染と,共染した膠原線維の緑色の偏光色によりその同定に苦労することが多い.
一方,コンゴー赤と同じ木綿染料を用いたダイロン染色法1,2)は各種のアミロイドをコントラストよく橙色に染色し,朱色の蛍光を示し,黄色から緑色の偏光色を呈する.しかも膠原線維および弾性線維の共染がなく,全身性アミロイドーシスのみならず皮膚のアミロイドーシスのアミロイドの検索に最も適した染色法であると考える.