文献詳細
文献概要
形態学的検査と技術 血液と病理 わだい
子供の腫瘍
著者: 三杉和章1
所属機関: 1横浜市大第2病理学
ページ範囲:P.515 - P.515
文献購入ページに移動小児の腫瘍の特徴としては○○芽腫と呼ばれるものが多く,組織学的には胎生期組織に類似する所見,内・外・中胚葉成分の混在,異形成像の共存などが認められることなどで,発生異常との関連が示唆される所見を見ることが多い.実際,特殊な先天奇形の症例に腫瘍の発生が多いことが知られており,片側肥大症や無紅彩症あるいは泌尿器系奇形と腎芽腫,Beckwith-Wiedmann症候群(巨舌症,臍帯ヘルニヤなどの異常を示す巨大児)に副腎皮質癌,肝芽腫や腎芽腫が発生しやすいことなどが有名である.発生学においても分子生物学的な研究が進み,分化・発育に関与する遺伝子の発現の機構がしだいに解明されているようである.小児腫瘍はこれらに発生遺伝子の発現の異常と考えることもできると思われる.
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