文献詳細
文献概要
形態学的検査と技術 血液と病理 わだい
フローサイトメトリーの使用経験
著者: 中原一彦1
所属機関: 1東大・中検
ページ範囲:P.528 - P.528
文献購入ページに移動 元来,人類には夢がある。木の葉のようにすいすいと水の上を動きたい,鳥のように自由に空を飛ぶことができたら,と昔の人々は考えた.それが,今現実となって船や飛行機の開発につながっている.われわれも,蛍光染色された細胞を蛍光顕微鏡でカウントしながら,もっと早く,誰もが簡単に算定できる器械が発明されないものだろうか,とよく思ったものである.同じ思いが,フローサイトメトリーを開発した人々にもあったに違いない.その夢が実現し,フローサイトメトリーとなって現われた.
フローサイトメトリーがまだなかったときには,細胞を染色し終わって,さてこれからカウントとなるとそれからがひと苦労であった.特に検体数が多かったり,また細胞数の少ないもの,蛍光強度の弱いものとなると,それこそ悲劇的であった.細胞を探してあちらこちらと視野を動かしているうちに光に当たって蛍光がますます薄くなり,いっそう判定に困ったり,検索が夜明け近くにも及び,睡魔が瞬間的に襲い接眼レンズに眼を何度もぶつけながら検鏡したものであった.それも今では懐かしい思い出となっている.
フローサイトメトリーがまだなかったときには,細胞を染色し終わって,さてこれからカウントとなるとそれからがひと苦労であった.特に検体数が多かったり,また細胞数の少ないもの,蛍光強度の弱いものとなると,それこそ悲劇的であった.細胞を探してあちらこちらと視野を動かしているうちに光に当たって蛍光がますます薄くなり,いっそう判定に困ったり,検索が夜明け近くにも及び,睡魔が瞬間的に襲い接眼レンズに眼を何度もぶつけながら検鏡したものであった.それも今では懐かしい思い出となっている.
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