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文献詳細

雑誌文献

検査と技術14巻5号

1986年04月発行

文献概要

形態学的検査と技術 血液と病理 病理 [3]造血・リンパ組織の検査法

[B]モノクローナル抗体による検査法

著者: 鈴木裕1 草刈悟1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.551 - P.556

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はじめに
 リンパ球は複雑な免疫反応機構の中心を成す細胞であり,発生的にT細胞およびB細胞の2大系列に分けられる.T細胞およびB細胞各系列の細胞は,おのおのに特徴的な表面形質(マーカー)を有しており,それらを検索することによってT細胞やそのサブセット(subset),B細胞の同定が可能である.これらのリンパ球表面形質には,リンパ球の分化段階によって発現・消長を示す分化抗原およびリンパ球型抗原(HLA抗原)がある.いずれも単クローン性抗体(monoclonalantibody:以下MoAb)を用いて,リンパ球細胞膜抗原として検出できるようになり,リンパ球の免疫反応における機能解析や臨床面にも幅広く使用されている.
 一方,腫瘍細胞はその発生母細胞の形質や機能を多少とも保持しており,悪性リンパ腫もまたその表面形質は正常リンパ球のそれとほぼ対応していることが判明していることから,従来の形態学的所見に膜抗原の検索所見を加味・総合した基準によって診断および分類が行われるようになってきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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